今会いに行きますと言えたらどんなにいいか 

推しが泣いた。

「こうするしかなくて」と、悔し涙を零した。


「新しいお客様に『来てほしい』と、この時点で声掛けすることができない」という結論になったのだと、
苦しい顔で語った。

私はMeseMoa.というメンズアイドルを応援している。
彼らは今年、既存のファンの数を超える座席数を構えて、大きなツアーをする予定だった。
ツアー名は『GALAXY 5』。

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全国15か所、21公演、大阪を皮切りに、パシフィコ横浜でファイナルを迎える。はずだった。
新曲の『烏合之衆』と『Greatest Delight』を引っ提げて、2020年春夏ツアーだ。


【MeseMoa.】烏合之衆 [Disorderly Crowd]【7th single】


その一部を、この度中止にした。

 

収入源であるライブも、撮影会もできず、大きな額を得る活動を現在失っているからである。


新型コロナウイルスによって、日本国内には様々な影響が出ている。
まずは防疫の問題。これがコア。
それによって、手洗いうがいの推奨や、人混みにいかない、受診の際は手順をふむ、などの注意喚起が出ている。

そのうちの一つ、大規模イベントの自粛というのがある。

彼らのようなライブアイドルは、ライブと撮影会などが主な収入源で、それにCDやDVD、グッズなどの販売がある。
これらのイベントには、ファンが集まらなければいけないが、これをいま自粛しているので、
彼らは物品や配信の課金などによって収入を得なければならなくなった。
アイドルのテレワーク、在宅勤務と思ってほしい。

それ自体は仕方がない。
彼らは、自身やファンを今すぐ危険にさらそうとはしていないので、
この自粛期間中に開催はしないとし、所属会社の株式会社DDは所属する学生タレントの活動もストップさせている。
ちなみに、15日までは毎日所属アイドルが配信していて、そこにチケット代のようなお気持ちを投げることができる。


MeseMoa.7thシングル「烏合之衆」お披露目YouTube Live


もちろん無料で視聴もできるので、気になったらぜひご覧になっていただきたい。
基本的に生歌で踊りもきちんとレッスンを積んでいるパフォーマンスなので、ライブ映像がおすすめです。
トークの日もあります。

さて、問題は、この先の話である。
1000人を超える会場(ファイナルはパシフィコ横浜なので4000人)の春夏ツアーが組まれている。
チケットは一部販売が開始されている。

撮影会の延期、中止は本当に痛手で、
私たちが知っている情報だけで計算すると、新曲を出すたびに7日×11時~20時まで×1枚3000円×9人(休憩時間や転換があるので、賞味7時間くらいと思ってほしい)。
基本的にはすべて売り切れるグループだ。8000万円。毎回売り切れるので、当然、それを予算として活動費を組んでいる。
経費はわからないが、その分は差し引かれるとして。
それをいま失っている。いままでは、足りなければ追加もできた。それも、いつできるかわからない。

皮肉なことに、規模がそれなりに大きいだけに、跳ね返ってくる額も相当で、
仮に全部を中止すると試算した場合、億単位で損をするのだと教えてくれた。

あるバンドの、彼らの悲痛な表明が話題になったが、そこかしこで起こっているということです。

赤字覚悟の小さな箱を前提としていたら、彼らもどんなに気持ちが楽だっただろう。
いつ収束するかわからないのに、集まってほしいと、言えない、と。
でも、全部を中止にもできなかった、と。

私の推しは脱サラをしたアイドルだ。5年、兼業で北海道から通いで活動し、30歳で上京して、この春34歳になる。
当然、グループの中で、もしくは会社の中では年長者で、穏やかだけど、パフォーマンスは全力で、ときどき吹っ切れて人を笑顔にすることが好きで、いつも宝塚のような笑顔の人だ。

少なくとも、8年、私は彼が弱り果てた様子をみたことがなかった。
それまでに見せた涙も、感涙の涙だった、と思う。

社会人と兼業し、毎週週末に出てきて、深夜に空港から自家用車で帰宅し、
平日朝から仕事というスケジュールで活動しているときですら、彼は笑っていた。
隈が凄かったけど。

 

そういう人が、泣いた。
悔しいと、泣いた。

 

彼らは、私たち=ファンの顔も名前も知っている。

少なくとも、ライブや特典会に通っていたりするならば。

SNSで頻繁にリプライをつける子は、顔ではなくてアイコンかもしれない。

 

私たちの悲しそうな様子を、『どこの誰が』悲しんでいるのか、を、想像できてしまう。

それは、ライブアイドルだから。

数万のドームツアーをして、TVに出ている人たちとは、ここが少し違う。

みんな、が、具体的にわかってしまう。

情も深くなろうというものだ。

 

 

これを書いているいまも、胸が痛くて、どうしていいのかわからない。

できることはする。
動画の再生も、CDの購入も、SNSの宣伝もしてる。
買えるものは買う。投げ銭もしてる。
でも私は普通のOLで、当然のことながら、自分の収入と相談しながらしか応援できない。

 

『リスクがある商売だから仕方ない。エンタメとはそういうものだ。』
確かにそうだ。
そうだが、私たちはこの先も観たいし、彼らはこの先も続けたい。
好きなものを諦めたくない。


ライブ行きたいですよ。輝く彼らのパフォーマンスが見たい。
撮影会も行きたい。行って、感想を伝えて、ちょっとしたことではしゃいで笑い合いたい。
仲間と食事に行ったり、お泊りしておしゃべりしながら夜明かししたい。

でも、それが今じゃないって、認識してます。
私たちはもがきながら待っている。

手を洗って、マスクをして、消毒して、

仕事行って、ご飯食べて、配信観て、SNSして、寝て、待っている。

 

オタクは怖いことが多い。
自分や、自分の家族、社会性、のほかに、
「チケットがご用意できませんでした」の一文が怖いし、推しの不利益が怖いし、推しの罹患も怖い。


これは不運だ、と思う。
社運をかけた投資の矢先に、災害に見舞われた、と私は思っている。

自分たちの実力不足だとも、彼らは言う。
背伸びしたキャパシティは、ファンから見ても不安だった。
だから、それもきっとそうなんだと思う。

ファンがどうこう言ったところで、箱は変わらないし、
そして、キャンセル料も変わらない。多分。


で、この株式会社DDは、たしかに芸能の会社ではあるが、中小企業のひとつだ。

全国一斉休校で、教育分野にはきっと支援が入るだろう。

給食に関わる業者さんは、今大変なのだと流れてくる。

牛乳の業者さんと、芸能事務所と、同じではないか。

どちらも助けてくれたってよかろうよ、と思う。

 

それから、ドラッグストアのお姉さんも、もう謝り疲れたと言ってるじゃないか。


全国、そんなに謝らないで同盟を組みたいくらい、みんな疲れている。


市井の人は少し休んだほうがいいんじゃないか。
免疫も落ちるし。

 

あと、最後に言っておきたいことがある。


泣いてもうちの推しの顔は綺麗。

 

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ご興味があればこちらを。

不名誉な宣伝をしてごめんね、私の推し。